「新NISA、うちの窓口でも始められますよ」。ゆうちょ銀行や、ろうきん、地元の地銀でそう言われて、そのまま口座を作った方も多いと思います。ネットの証券会社より安心だし、分からないことは聞けるし、悪い選択には見えませんよね。
ただ、同じ新NISAでも、どこで始めるかによって20年後の金額はけっこう変わります。制度が違うわけではありません。「選べる商品」と「ポイント」と「手数料」の3つが違うだけです。
この記事では、ゆうちょ銀行・ろうきん・地銀といった銀行系と、SBI証券・楽天証券といったネット証券を、公式の数字で並べて比べました。そのうえで、当サイトのNISA積立シミュレーターを実際に動かして、20年後にいくら差がつくのかを計算しています。
結論(先に3行で)
- 銀行の新NISAでも積立はできます。非課税というメリットは、どこで始めてもまったく同じです。
- 差がつくのは「選べる商品の数」「クレカ積立のポイント」「信託報酬」の3つ。銀行はクレカ積立が使えず、ポイントは0%です。
- 月3万円を20年積み立てた場合、商品選び次第で最大119万円の差になりました(シミュレーター実測)。

ねえワッシー、ゆうちょでNISA始めたら損なの?おばあちゃんが郵便局で申し込んだって言ってたよ。

損ってことはないよ。非課税になる仕組みはどこで始めても同じだからね。ただ「選べるお店の品ぞろえ」と「おまけのポイント」が違うんだ。そこだけ順番に見ていこうか。
その積立、将来いくらになると思いますか?
スライダーを動かすだけで、目標金額に届く年齢まで自動で計算。メールアドレスの入力もいりません。
NISA積立シミュレーターを使ってみる登録不要・完全無料/入力した数字はあなたの端末の中だけで計算されます
1. 銀行の新NISAは損なのか? 制度は同じ、違うのは「中身」だけ
まず大前提として、新NISAの非課税メリットは、どの金融機関で口座を作っても完全に同じです。年間の投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)も、生涯投資枠1,800万円も、運用益が非課税になる点も変わりません。
では何が違うのか。大きく3つです。
- ①選べる商品の数:金融機関ごとに、取り扱っているファンドが違います
- ②クレカ積立が使えるか:クレジットカードで積み立てるとポイントが付きます。銀行は非対応です
- ③信託報酬(保有中にかかる手数料):どの商品を選べるかで、毎年かかるコストが変わります
①と③はセットです。低コストの人気ファンドを扱っていない金融機関では、そもそも選びようがありません。順に見ていきましょう。
2. 【比較表】ゆうちょ・ろうきん・地銀とネット証券は、ここが違う
| 項目 | ゆうちょ銀行 | ろうきん・地銀など | SBI証券 | 楽天証券 |
|---|---|---|---|---|
| つみたて投資枠の本数 | 18本 | 数本〜十数本が中心 | 295本 | 297本 |
| 成長投資枠の本数 | 76本 | 金融機関ごとに差が大きい | 投資信託に加えて日本株・米国株・ETFも対象 | |
| 個別株が買えるか | 買えない | 買えない | 買える | |
| クレカ積立 | なし | なし | 三井住友カードで0.5〜3.0% | 楽天カードで0.5〜1.0% |
| 最低積立額 | 1,000円 (つみたて投資枠・ネット利用時) | 1,000円程度が多い | 100円 | 100円 |
| 相談できる窓口 | あり(全国の郵便局) | あり | 原則なし(電話・チャット対応) | |
つみたて投資枠の本数は、ゆうちょ銀行が新NISAナビ掲載値、SBI証券・楽天証券はダイヤモンド・ザイ調べ(SBI証券は2026年8月10日時点)。ろうきん・地銀は各行で扱いが大きく異なるため一般的な傾向を記載しています。ご自身の金融機関の本数は必ず公式サイトでご確認ください。

あれ? 銀行だと株が買えないんですか?

うん、銀行は投資信託や国債は扱えるけど、上場している株の売買は取り次げないんだ。だからNISAの成長投資枠で個別株や米国ETFを買いたくなったら、証券会社が必要になるよ。
3. 差① 商品ラインナップ|18本と295本では、選べる中身がちがう
ゆうちょ銀行のつみたて投資枠は18本。SBI証券は295本、楽天証券は297本です。
ただ、「本数が多い=えらい」わけではありません。実際に買うのは1〜3本ですし、選択肢が多すぎて迷うくらいなら18本のほうが決めやすい、という面もあります。
本当に効いてくるのは、いちばん低コストな定番ファンドが選べるかどうかです。
| 全世界株のファンド | 信託報酬(年・税込) | 100万円あたりの年間コスト | ゆうちょ銀行 |
|---|---|---|---|
| eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) | 0.05775% | 約578円 | 取扱なし |
| つみたて全世界株式 | 0.198% | 約1,980円 | 取扱あり |
信託報酬はみんかぶ投信の掲載値(2026年9月時点)。信託報酬は「持っているあいだ毎年かかる手数料」で、日々の基準価額から自動的に差し引かれます。別途請求されるわけではないので、気づきにくいコストです。
いわゆる「オルカン」(eMAXIS Slim 全世界株式)は、ゆうちょ銀行では買えません。代わりに中身の近い「つみたて全世界株式」が選べますが、信託報酬は約3.4倍です。

0.058%と0.198%って、そんなに変わらなくない?

1年だけ見たらほんの少しの差だね。でも信託報酬は持っているあいだ毎年ずっとかかるんだ。20年、30年と積み上がると、けっこうな金額になるんだよ。あとで実際に計算してみようね。
4. 差② クレカ積立|銀行は0%、ネット証券は0.5〜1%のポイントが乗る
クレカ積立とは、毎月の積立をクレジットカードで決済する仕組みです。買う商品も金額も同じなのに、積立額に応じてポイントが付きます。
銀行系の新NISAは口座からの引き落としのみで、クレカ積立の仕組みがありません。つまりポイントは0%です。
| 使うカード | ポイント付与率 | 主な条件 | 月3万円を20年 積み立てた場合 |
|---|---|---|---|
| 銀行の口座引落 (ゆうちょ・ろうきん・地銀) | 0% | クレカ積立の仕組みがない | 0円 |
| 三井住友カード(一般) ×SBI証券 | 最大0.5% | 前年のカード利用が年10万円以上 | 36,000円相当 |
| 三井住友カード ゴールド ×SBI証券 | 最大1.0% | 年間100万円以上の利用 | 72,000円相当 |
| 楽天カード(通常) ×楽天証券 | 0.5% | 代行手数料が年率0.4%未満のファンド | 36,000円相当 |
| 楽天ゴールドカード ×楽天証券 | 0.75% | 代行手数料が年率0.4%未満のファンド | 54,000円相当 |
クレカ積立の上限はSBI証券・楽天証券とも月10万円。三井住友カードはプラチナプリファードなら最大3.0%、楽天はプレミアムカードで1.0%など上位カードほど付与率が上がりますが、年会費とのバランスで判断してください。付与率は改定されることがあるので、申し込み前に必ず公式サイトで最新の条件をご確認ください。
月3万円の積立で0.5%なら、年間1,800円分。20年で36,000円相当です。金額としては大きくありませんが、「同じことをしているのに、もらえるかもらえないか」の差だと考えると、もらっておいたほうが素直です。

ポイントって、もらったあとどうするんですか?

そのまま投資に回してもいいし、普段の買い物に使ってもいいよ。ただ、ポイント目当てで年会費の高いカードを作るのは本末転倒だからね。まずは年会費無料のカードから始めるのがいいと思うよ。
5. 【実測】月3万円×20年を積立シミュレーターで計算したら119万円差だった
ここからが本題です。当サイトのNISA積立シミュレーターに、実際に数字を入れて計算しました。
条件は毎月3万円・20年間・現在の資産0円。想定利回りは全世界株の目安である年5.0%とし、そこから信託報酬を引いた数字を「実質利回り」として入力しています。
| 想定するケース | 信託報酬 (年・税込) | 実質利回り | 20年後の資産 | いちばん下との差 |
|---|---|---|---|---|
| ネット証券でオルカン eMAXIS Slim 全世界株式 | 0.05775% | 4.9% | 1,219万円 | +119万円 |
| ゆうちょ銀行で買える全世界株 つみたて全世界株式 | 0.198% | 4.8% | 1,205万円 | +105万円 |
| 信託報酬1%の商品を選んだ場合 (仮定) | 1.0% | 4.0% | 1,100万円 | — |
毎月3万円・20年・元本720万円。年5.0%の想定利回りから信託報酬を差し引いた数字を「実質利回り」として当サイトのNISA積立シミュレーターに入力した結果です(小数第2位は四捨五入されます)。あくまで一定利回りを前提にした単純計算で、将来の運用成果を保証するものではありません。実際の運用では、この差より値動きの影響のほうがはるかに大きくなります。
20年間の資産推移。青がネット証券でオルカンを積み立てた場合、緑がゆうちょ銀行で買える全世界株ファンド、オレンジが信託報酬1%の商品を選んだ場合です。
注目してほしいのは、オルカンと「つみたて全世界株式」の差は14万円にとどまるという点です。ゆうちょ銀行でも低コストの全世界株を選べば、致命的に不利になるわけではありません。
本当に差がつくのは、信託報酬1%前後の商品をすすめられて、そのまま買ってしまったときです。この場合は119万円の差になりました。窓口では相談できる安心感がある一方、手数料の高い商品が候補に挙がることもあります。

119万円って、20年分の積立の2年ぶんくらい……!

そうなんだ。しかもこれ、値動きが有利だったわけじゃなくて手数料の差だけで開いた金額なんだよ。だから「どこで買うか」より先に「信託報酬が何%の商品か」を見る癖をつけてほしいんだ。
毎月の積立額が増えるほど、差も大きくなる
いずれも20年間の積立。青が実質4.9%(ネット証券でオルカン)、オレンジが実質4.0%(信託報酬1%の商品)。積立額が増えるほど差が広がります。
月10万円まで積み立てる人なら、その差は395万円。金額が大きい人ほど、商品選びの影響は大きくなります。
ただし念のためもう一度書いておくと、これは「利回りが毎年きっちり一定だったら」という前提の単純計算です。実際の相場は上下しますし、20年後の金額を保証するものではありません。あくまで手数料の差がどれくらい効くかを見るための目安として使ってください。
PR
SBI証券|商品の多さとクレカ積立のバランスで選ぶなら
- いいところ:つみたて投資枠が295本と豊富で、オルカンもS&P500も選べる。三井住友カードのクレカ積立でポイントも貯まる
- 正直なデメリット:画面の項目が多く、初めて開くと少し迷います。クレカ積立の0.5%も「前年に年10万円以上カードを使う」条件つきです
- こんな人におすすめ:将来、個別株や米国ETFにも手を広げたい人
口座開設・維持の費用はかかりません。開設したあとに積立を始めないという選択もできます。
PR
楽天証券|画面の分かりやすさと楽天ポイントで選ぶなら
- いいところ:つみたて投資枠297本。画面がすっきりしていて初心者でも迷いにくく、楽天カード決済で0.5%、ゴールドなら0.75%のポイントが付きます
- 正直なデメリット:ポイント付与率は「代行手数料が年率0.4%未満のファンドかどうか」で変わります。低コストの人気ファンドは0.5%区分です
- こんな人におすすめ:普段から楽天市場や楽天カードを使っていて、ポイントをまとめたい人
SBI証券と楽天証券は両方開いておいて、あとから使いやすいほうをNISA口座にする人も多いです。
6. 【タイプ別診断】銀行のNISAのままでいい人・ネット証券に移ったほうがいい人
銀行のままでも大きな問題はない人
- すでに信託報酬0.2%以下の全世界株や先進国株を積み立てている
- ネットの手続きが不安で、対面で相談できることに価値を感じている
- 積立額が月1万円程度で、20年後の差が数十万円なら許容できる
- 家族の口座もまとめて同じ窓口で管理したい
ネット証券に移ったほうがいい人
- いま積み立てている商品の信託報酬が0.5%を超えている
- 積立額が月3万円以上で、これから20年以上続けるつもり
- クレジットカードを普段から使っていて、ポイントを取りこぼしたくない
- 将来、個別株や米国ETFにも挑戦してみたい
まずやってほしいのは、いま積み立てている商品の名前を調べて、信託報酬が何%か確認することです。それだけで、動くべきかどうかがかなりはっきりします。

自分の信託報酬って、どこを見れば分かるんですか?

取引画面のファンド名をクリックすると出てくる「目論見書」か、ファンド名で検索すればすぐ分かるよ。0.1%台なら合格、1%台ならちょっと考えたほうがいい、くらいの感覚で大丈夫。
7. 銀行からネット証券へ移す手順|NISA口座の金融機関変更
NISA口座は1人1つですが、年単位で金融機関を変更できます。いまある資産を売る必要はありません。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | いまの金融機関で「勘定廃止通知書」を請求する | 交付までに1〜2週間ほどかかります |
| 2 | 移り先の証券会社で総合口座とNISA口座を申し込む | 口座開設・維持の費用はかかりません |
| 3 | 届いた通知書とマイナンバー確認書類を提出する | 証券会社が税務署へ申請します |
| 4 | 税務署の確認が終われば新しいNISA口座が使えます | 積立の再設定を忘れずに |
手続きの受付は「変更したい年の前年10月1日から、変更する年の9月30日まで」。その年にすでに1円でも買付をしていると、その年の変更はできず、新しい金融機関で買えるのは翌年1月からになります。
注意点は2つあります。
- いま持っている商品は移せません。旧口座に置いたまま非課税で保有し続け、新しい積立だけを新口座で始める形になります
- その年に買付済みなら、変更は翌年から。年の途中で気づいた場合は、10月以降に翌年分の手続きをするのが現実的です

いまの分を売らなくていいのは安心だね。

うん、あわてて売る必要はまったくないよ。売ると非課税の枠が戻るのは翌年だし、値下がり中に売ったら意味がないからね。これから積み立てる分から変えていく、で十分だよ。
8. よくある質問(FAQ)
Q. ゆうちょ銀行のNISAはやめたほうがいいですか?
A. 「やめたほうがいい」とまでは言えません。信託報酬0.2%以下の全世界株ファンドを積み立てているなら、ネット証券との差は20年で十数万円程度です。ただ、クレカ積立のポイントが使えない点と、選べる本数が18本にとどまる点は事実なので、そこに納得できるかどうかで判断してください。
Q. ろうきんや地銀でも新NISAはできますか?
A. できます。ただし取扱本数は金融機関によって差が大きく、数本しかないところもあります。まずは自分の金融機関のつみたて投資枠の一覧と、その信託報酬を確認するのがおすすめです。
Q. NISA口座は複数の金融機関で持てますか?
A. 持てません。NISA口座は1人1口座で、同じ年に複数の金融機関で使うことはできません。ただし年単位での変更は可能です。
Q. クレカ積立の上限はいくらですか?
A. SBI証券・楽天証券とも月10万円です。それ以上積み立てたい場合は、超えた分を口座引落や楽天キャッシュなど別の方法で設定します。
Q. 銀行から証券会社に移すとき、いまの資産は売らないといけませんか?
A. 売る必要はありません。旧口座の商品は非課税のまま保有し続けられます。新しい積立だけを移り先で始める形になります。
Q. 結局、SBI証券と楽天証券はどちらがいいですか?
A. どちらでも大きな失敗にはなりません。普段から楽天のサービスを使っているなら楽天証券、将来的に個別株や米国ETFも考えているならSBI証券、という選び方で十分です。両方開いて使い比べる人も多いです。
まとめ|「どこで買うか」より先に「何を買うか」
- 新NISAの非課税メリットは、どの金融機関でもまったく同じ
- 差がつくのは「商品ラインナップ」「クレカ積立のポイント」「信託報酬」の3つ
- ゆうちょ銀行のつみたて投資枠は18本、SBI証券は295本、楽天証券は297本
- 銀行はクレカ積立が使えず0%。ネット証券なら0.5〜1%のポイントが付く
- 月3万円×20年で、信託報酬0.058%と1%の差は119万円(シミュレーター実測)
- まずやるべきは、いま積み立てている商品の信託報酬を確認すること
もし手元の数字で試してみたくなったら、NISA積立シミュレーターで毎月の積立額と利回りを入れてみてください。メールアドレスの登録もいりませんし、入力した数字はお使いの端末の中だけで計算されます。
※本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。記載の手数料・ポイント付与率・取扱本数は2026年9月時点で確認した内容です。改定されることがあるため、お申し込み前に必ず各社の公式サイトで最新情報をご確認ください。
あなたは何歳で「働かなくてよくなる」?
今の年齢・毎月の積立額・利回りを入れるだけ。FIREできる年齢とNISAで浮く税金まで、その場で計算します。
無料でシミュレーションしてみる登録不要・完全無料/入力した数字はあなたの端末の中だけで計算されます
